【脚質】という言葉を聞いたことがありますか?
脚質とは、競走馬の走り方の呼び名です。
脚質はレースで非常に重要な役割を持っていますが、競馬初心者の中には脚質の役割についてよくわかっていない方もいるでしょう。
当記事では脚質の概要とそれぞれの脚質の特徴、脚質の見方やレースにおける脚質の有利不利を紹介しています。
《この記事で分かること》
- 脚質の重要性
- 脚質の種類と特徴
- 脚質を知る方法
- 脚質とコースの影響
1:競馬初心者はぜひ知っておきたい脚質の重要性
脚質とはレースにおける馬の走り方や位置取りのことで、出馬表や競馬新聞にも記されています。
人間と同じように、競走馬にも個性や走り方があります。
それぞれ違った走り方でなおかつもっとも得意とする脚質でレースに勝とうとしているのです。
脚質を知る上で大切なのが、レースにおける位置取りです。
特に前半の位置取りは大切で、スタートからペースが落ち着いた時点で各馬がどの位置にいるかでその馬の脚質を知ることができます。
隊列の一番先頭を走る馬を逃げ馬といいます。
先頭ではないものの、中団(真ん中)より前にいる馬は先行馬です。
中団よりも後ろで競馬をする馬は差し馬と呼び、最後方で競馬する馬を追い込み馬と呼びます。
逃げや先行馬は前を走る馬ともいい、逆に差しや追い込み馬は後ろを走る馬と呼びます。
2:競馬初心者でも分かる!5つの脚質を紹介
競走馬の脚質は大きく分けて5つ存在します。
競馬初心者の方にも分かりやすく、それぞれの脚質について説明しますね。
2-1:脚質その①逃げ
逃げ馬とは、スタート直後に真っ先に先頭に立ち、隊列の先頭で競馬する馬です。
レースを引っ張る存在でもあり、レース展開を組み立てます。
逃げ馬にも個性があり、はじめから大きくリードを広げて競馬する馬もいれば、ゆったりとした流れで坦々と走る馬もいますし、ハイペースの競馬を行う逃げ馬もいます。
逃げ馬のペースによって、後続が力を発揮できるか決まるのでだれが先頭に立つのか予想するのは非常に大切です。
余談ですが、サイレンススズカやミホノブルボン、キタサンブラックは現役時代に活躍した逃げ馬です。
2-2:脚質その②先行
先行馬は隊列の前の方で競馬する馬です。
ほとんどの馬は先行馬か差し馬に分類されますが、先行馬は逃げ馬のあとを追いながら好位をつけることができます。
最後の直線でも前が詰まる可能性が少ないので自分の力を発揮しやすいですよ。
先行で結果を残した馬には、シンボリルドルフやエルコンドルパサー、ジェンティルドンナがいます。
2-3:脚質その③差し
差し馬とは、中段より後ろの位置で脚を溜めて競馬を行います。
差し馬が力を発揮するのはレース終盤です。
最後のコーナーから直線にかけて、徐々にペースを引き上げつつ、末脚を爆発させます。
それまでじっくりと脚を貯めたのは最後の追い込みのためで、ここ一番の末脚で前の馬をかわして勝利をつかもうとします。
有名な差し馬はオルフェーヴルやロードカナロア、ウオッカが挙げられます。
2-4:脚質その④追い込み
追い込み馬は差し馬よりもさらに後方、隊列のほぼ最後方で脚を溜め、直線で末脚を伸ばす馬です。
差し馬よりも後ろで競馬するのでよほど末脚勝負に自信がなければ追い込み馬にはなれません。
しかしながら、追い込み馬はどの枠に入ったとしても後ろで競馬するのが半ば決まっているので枠の影響は受けにくいです。
また、自慢の末脚でごぼう抜きする姿は映像映えもするので多くの人に愛されやすいです。
ディープインパクトがまさに追い込み馬として一世を風靡しました。
2-5:脚質その⑤自在
競馬初心者の方は聞いたことがないかもしれませんが、稀に逃げも先行も追い込みも自在に行える自在馬が存在します。
どのような展開でも能力を発揮できる素晴らしい脚質ですが、よほど器用でないと力を発揮できません。
過去にはマヤノトップガンが先行で菊花賞を制し、逃げで有馬記念を勝利したと思えば、古馬になって挑んだ天皇賞(春)は差しの競馬で勝利しました。
2020年に引退したアーモンドアイも元は追い込み馬でしたが、ワールドレコードを樹立した2018年のジャパンカップでは積極的な先行策で古馬を出し抜いています。
3:競馬初心者でも分かる脚質の見方
競走馬の脚質をざっくり解説しましたが、肝心なのはどの馬がどのような脚質を持っているか知ることです。
実は、競馬新聞やネットの馬柱には脚質が記載されています。
脚質の見方を解説します。
3-1:▲印の位置で脚質を把握できる
ほとんどの馬柱には脚質を表記しています。
馬柱のどこを見たらいいかというと、競走馬名の近くにある4つの▲印です。
この▲印は4つ並んだ□の中のどこかに打たれていて、この▲印の位置で競走馬の脚質を知ることができます。
馬柱にはタテ表記とヨコ表記のものがありますが、タテ表記であれば上から逃げ、先行、差し、追い込みです。
横表記の馬柱は左から逃げ、先行、差し、追い込みとなります。
なお、複数の▲印が打たれている場合があります。
例えば、先行と差しに印が打たれていた場合、その馬は先行も差しも行うことができます。
3-2:漢字一文字で脚質を表記することもある
馬柱の中には▲印ではなく漢字一文字で脚質を表記していることもあります。
逃 | 逃げ |
先 | 先行 |
差 | 差し |
追 | 追い込み |
在 | 自在 |
4:展開や舞台が脚質に影響を及ぼす5つのポイント
展開や舞台によって好走しやすい脚質、もしくは凡走しやすい脚質があります。
脚質における特徴を知ることで、競馬予想に活かすこともできるでしょう。
初心者の方も知っておきたい、脚質と展開や舞台における傾向を5つ紹介します。
4-1:その①ペース
逃げ馬が作るペースには前半の時計が後半の時計よりも遅いスローペース、逆のハイペース、前半と後半の時計の差が1秒未満のミドルペースの3種類があります。
スローペースの場合は逃げや先行といった前を走る馬が好走しやすく、ハイペースの場合は差しや追い込みが台頭しやすいです。
なぜなら、スローで走ると前の馬が余力を持ったまま最後の直線に入るので粘り強い競馬ができるからです。
4-2:その②距離
短距離レースは圧倒的に前を走る馬が有利です。
最初から飛ばすのでハイペースになりやすいですが、スタミナが切れる前にゴールする可能性が高いからです。
長距離レースはマラソンのようにスタミナを温存するのでスローになりやすく、こちらでも逃げや先行馬の方が好走率は高いです。
4-3:その③小回りと大回りの競馬場
中山や札幌競馬場の小回りコースはコーナーでスピードを落とす必要があります。
また、最後の直線も短いので前の馬が有利です。
逆に阪神や新潟といった大回りの競馬場はコーナーが大きいのでそこまで減速しません。
直線も長く造られているので差しや追い込みが決まりやすいです。
4-4:その④直線の短い競馬場と長い競馬場
小回り競馬場や大回り競馬場に通じるものがありますが、直線の短い競馬場は前が有利です。
直線の長い東京や中京競馬では差しや追い込み馬の活躍が目立ちます。
4-5:その⑤出走馬で脚質の偏りがあるケース
レース展開は出走馬ごとの脚質によっても決まります。
例えば、逃げ馬が一頭しかいない場合、ほぼ確実にその逃げ馬がレースを引っ張るでしょう。
一頭だけの逃げ馬を単騎の逃げ馬といいますが、自身のペースで競馬するのでストレスフリーでそのまま逃げ切ることも多いですよ。
逆に、逃げ馬不在のレースはだれが先頭に立って、どのようにレースを引っ張るのか全く予測できないので展開を読むのは非常に難しいです。
5:まとめ
今回は脚質について紹介しました。
脚質ごとに得意不利があるので、競馬予想を行う上で力を発揮しやすい脚質の馬を探し出すことは重要です。
競馬初心者の方には少し難しいかもしれませんが、馬柱の▲印の意味さえ理解すれば、出走馬の脚質が分かるのでレース展開も見えてきます。
脚質を通して競馬予想だけでなく、レースそのものを楽しみましょう。